土地の等価交換とは?メリット・デメリットや注意点を詳しく解説

土地の等価交換とは?メリット・デメリットや注意点を詳しく解説

土地の等価交換は、土地オーナーのリスクと負担を抑えながら賃貸経営を始められる土地活用の方法です。しかし、なかなか聞き慣れない言葉なので、具体的にどんなものなのか気になっている方、不安に感じている方もいるでしょう。

今回は土地の等価交換の概要に加えて、メリットおよびデメリット、さらに注意点についても詳しく解説していきます。土地の等価交換に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。

土地の等価交換とは?

土地の等価交換とは、オーナーがもっている土地の上に不動産会社などの業者が建物を建て、土地と建物の所有権の一部を等価となるように交換する建て方のことです。

基本的に、完成した建物と土地の所有割合は、オーナーと業者それぞれの出資率に応じたものになります。

例:土地価格が7億円、建築費が3億円の場合
→土地と建物を所有する割合はオーナーが70%、不動産会社が30%

土地の所有者は建築費を出す必要がなく、新たに借入をすることもないので、小さなリスクで賃貸経営を始めたい場合にふさわしいといえます。

等価交換の方式は2つある

土地の等価交換は、名義変更のタイミングによって以下の2つの方式に分かれます。

全部譲渡方式:建築前に土地の名義を業者に変更してから建物を建て、建築後に土地・建物の所有権が配分される。

部分譲渡方式:建築前に土地の名義変更は行わず、建築後に土地・建物の持分を交換する。

土地のオーナーと業者双方に還元される持分の床面積を「還元床」といいます。この還元床の決め方には、「出資比率による方法」と「売価還元による方法」があり、方法によって床面積が異なるので注意が必要です。

出資比率による方法では、オーナーと業者の出資率を建物の総専有面積にかけ合わせます。

例:建物の総専有面積=3,000平米、土地オーナーの出資額(土地全体の評価額)が1億円、業者の出資額(建築費総額)が2億円の場合

土地オーナーの還元床=3,000平米×1/3=1,000平米
業者の還元床=3,000平米×2/3=2,000平米

売価還元による方法は、主にマンションなどに用いられます。業者が利益を出すのに必要な売上高を計算し、その金額を確保できる専有面積(部屋数)を取得し、残りの床面積(部屋数)を土地オーナーのものとするという方法です。

売価還元では、注意をしないと業者ばかりが有利な契約になってしまいかねないため、慎重に調査、交渉する必要があります。

土地を等価交換する4つのメリット

土地を等価交換する4つのメリット
ここからは、土地の等価交換で発生する4つのメリットを解説していきます。

自己資金を使わずに土地活用できる

前述のとおり、土地の等価交換では建物を建築する費用は業者側が支払うため、土地オーナーが自己資金を使うことはありません。初期投資なしで土地を有効に活用できるのは、大きなメリットといえます。

通常、マンションやオフィスビルなど規模の大きい建物を建てる場合、建築費のために金融機関から融資を受けるケースは少なくありません。しかし、等価交換を活用すれば、融資による事業リスクも抑えられます。

通常のマンション経営で初期費用がどれくらいかかるのかは、以下の記事を参考にしてください。

マンション経営の初期費用を一覧でわかりやすく解説

譲渡税の優遇措置を受けられる

等価交換では、建築がスタートする前に実態として土地をいったん業者へ売却することになります。通常であれば、土地を売却して得た収益に対して譲渡所得税が課されますが、等価交換では一定の条件を満たすと「立体買い換えの特例」が適用されます。

この特例の適用により、将来的に不動産を売却する時まで、譲渡所得税を100%繰り延べることが可能です。税金が免除になるわけではないものの、等価交換時の税負担を免れることができます。

相続税対策として活用できる

土地を更地のまま所有していると、相続税の計算には土地の評価額がそのまま適用されます。しかし、等価交換によって賃貸マンションを建てた場合、賃貸物件に対する軽減措置を適用でき、相続税の節税効果が見込めるのです。

相続した土地について詳しく知りたい方は、こちらの記事をチェックしてください。

相続した土地はすぐに売却すべき?売却するメリットや適用できる特例を解説

知識がなくても土地を有効活用できる

本来であれば、マンションやオフィスビルなどを建てて土地を活用しようとすると、幅広い知識が必要になります。しかし、土地の等価交換であれば不動産会社にリードしてもらって土地を有効活用できるため、専門的な知識は必要ありません。

不動産会社がもつ経営ノウハウを活かした優良物件を建ててもらえる可能性が高いため、初めて賃貸経営などを行う方でも安心できるでしょう。

土地を等価交換する2つのデメリット

等価交換にはメリットが多い一方、当然デメリットもあります。

不動産の権利が複雑になりやすい

土地の等価交換は、土地オーナーと業者で不動産の権利を共有する形です。これにより、権利を複雑化してしまうおそれがあります。

例えば建物がマンションの場合、業者が売却を進めることで区分所有になって、所有者がさらに増えることになります。不動産の権利者が増えると、将来的に管理や売却に支障が出る可能性も考えられるでしょう。

また、土地の権利に関しては単独の所有権がなくなります。大切な土地を親族以外が所有することに抵抗を感じるなら、別の土地活用を検討するのがおすすめです。

還元床の調整が難航するケースがある

還元床面積を出資比率に応じて決める場合、土地オーナー側は土地の価格をもとに出資率を計算します。しかし、その指標となる鑑定評価額は不動産鑑定士によって変わることもないとはいえません。

還元床を決める際は、不動産会社と慎重に話し合いながら進めることが大切です。また、マンションなどは場所や階数で価値が変動するため、その点についても考慮が必要になります。

多くの場合、業者のほうが知識と経験があり、交渉の際には主導権を握られてしまうこともあるでしょう。だからこそ、疑問や不安はすぐに質問し、毅然とした態度で慎重に話し合うことが大切です。

土地を等価交換する際の注意点

土地を等価交換する際の注意点
最後に、土地を等価交換するうえで知っておきたい、大切な注意点を2つ紹介します。

等価交換に向いている土地か確認しておく

大前提として、所有している土地が等価交換に向いているのか確認しておきましょう。

基本的に等価交換の対象となるのは、収益性が見込める優れた土地です。具体的には、駅から近く利便性が良い土地、100坪以上の広い面積をもつ土地などが挙げられます。

業者は、建設費用を負担する価値のある土地でなければ等価交換をしません。そのため、極端に不便な土地や狭すぎる土地では、等価交換は実現しない可能性が高くなります。

信頼性の高い不動産会社に相談する

土地の等価交換を進める際は、信頼性の高い不動産会社に相談することが大切です。業者からの提案そのままに話を進めると、土地オーナーの利益が小さくなってしまう可能性があります。

また、業者を選ぶ際には、竣工後の収益計画が明確か、所有形態について互いに納得できるかも確認しましょう。建物がオフィスビルの場合、竣工後の所有形態を共有か区分共有か選べるのが一般的なので、その点も業者としっかり話し合うのがおすすめです。

不安なことや疑問なことがあれば、すぐに信頼できる不動産会社に相談してください。

まとめ

土地の等価交換は、小さいリスクで土地を有効活用できる方法です。まとまった資金がない方にも向いているので、メリット・デメリットや注意点をよく理解したうえで検討するといいでしょう。

創業50年を超える一誠商事は、土地の等価交換をはじめ、不動産を有効に活用したい方のご相談にのっています。たしかな実績をもとにお客様一人ひとりに最適な活用方法をご提案いたしますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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記事の監修者:一誠商事編集部

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