マイホーム(居住用財産)を売却した時の3つの特例とは?適用要件についても紹介!

マイホーム(居住用財産)を売却して利益が発生すると、税金の支払いが必要になります。マイホーム売却時には、多額のお金のやり取りがあるため、税金が高額になることも珍しくはありません。
でも、支払う税金の額は少しでも抑えたいですよね。実は、一定の条件を満たすと、特例として特別控除が受けられる場合があるんです。
今回は、マイホームを売却した場合に利用できる特例を、適用要件も併せて3つご紹介します。

不動産を売却して税金が発生する場合とは?

不動産を売却し、譲渡所得が生じると税金が発生します。
譲渡所得とは、資産の売却による所得のことで、計算式は以下の通りです。
譲渡所得=売却金額-(取得費+譲渡費用)

《取得費に含まれるもの》

  • 土地や建物を取得するために使った購入代金や建築代金
  • 登録免許税などの手数料
  • 設備費や改良費(リフォーム費用)などの維持管理費
  • 登録免許税や不動産取得税、印紙税などの税金

《譲渡費用に含まれるもの》

  • 仲介手数料
  • 印紙税で売主が負担したもの
  • 借家人に支払う立退料
  • 建物の取壊し費用とその建物の損失額
  • 違約金や名義書換料

この取得費や譲渡費用を売却価格から差し引いた金額が譲渡所得です。
例えば、2,000万円で取得した不動産を3,500万円で売却し、譲渡費用の合計が200万円であった場合は、
3,500万円-(2,000万円+200万円)=1,300万円
の譲渡所得となります。
本来であればこの譲渡所得に税金が発生するのですが、その税金がお得になる特例を紹介します。

居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例

マイホーム(居住用財産)を売ったときには、所有期間に関係なく、譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例があります。
この特例を「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」といいます。

居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例を受けるための要件

特例の適用を受けるための要件は以下の通りです。

①自分が住んでいる家屋を売却するか、家屋と一緒にその敷地や借地権を売却すること。以前に住んでいた家屋や敷地等の場合は、住まなくなった日から3年を経過する日が属する年の12月31日までに売ること。
※家屋を取り壊した場合は、次の2つすべてに当てはまることが必要です。

  • その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に結ばれ、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日が属する年の12月31日までに売却すること。
  • 家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地をその他の用に供していないこと。

②売却した年の前年、前々年にこの特例またはマイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例、マイホームの買換えや交換の特例の適用を受けていないこと。
③売却した家屋や敷地等について、他の特例の適用を受けていないこと。
④災害によって滅失した家屋の場合は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までにその敷地を売却すること。
⑤売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと(生計を一にする親族や内縁関係にある人を含む)。

この適用条件の中に出てくる「属する年」という表現が分かりづらいと思うため、少し補足します。
適用要件①に「住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること」とあります。
2021年1月1日に売却した場合、3年を経過する日は2024年1月1日。そして、2021年12月30日に売却した場合、3年を経過する日は2024年12月30日です。
この場合は、3年を経過する日はどちらも2024年に属しているため、住まなくなってから、2024年12月31日までに売却しなくてはなりません。
また、以下のような家屋には適用されないため、注意が必要です。

①この特例の適用を受けることだけを目的として入居したと認められる家屋
②居住用家屋を新築する期間中だけ仮住まいとして使った家屋、その他一時的な目的で入居したと認められる家屋
③別荘などのように主として趣味、娯楽または保養のために所有する家屋

つまり、自宅として住んでいた家屋のみが適用になるということになります。

所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例

次は、3,000万円特別控除をした後の譲渡所得にかかる税率を下げる特例です。
「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」といい、3,000万円特別控除と併用が可能となります。
マイホー厶を売却して、一定の要件に当てはまるときは、長期譲渡所得の税額を通常の場合よりも低い軽減税率の特例が適用されます。

所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例を受けるための要件

この軽減税率の特例の適用を受けるには、次の4つすべてに当てはまらなければなりません。

①日本国内の自分が住んでいる家屋を売却するか、家屋と一緒にその敷地を売却すること。以前に住んでいた家屋や敷地の場合は、住まなくなった日から3年を経過する日が属する年の12月31日までに売却すること。
また、これらの家屋が災害により滅失した場合には、住まなくなった日から3年を経過する日が属する年の12月31日までに売却すること。
家屋を取り壊した場合は、次の3つすべてに当てはまらなければなりません。

  • 取り壊された家屋およびその敷地は、家屋が取り壊された日の属する年の1月1日において所有期間が10年を超えるものであること。
  • その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること。
  • 家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地をその他の用に供していないこと。

②売却した年の1月1日において売却した家屋や敷地の所有期間がともに10年を超えていること。
③売却した年の前年、前々年にこの特例や他の特例の適用を受けていないこと(3,000万円の特別控除は除く)。
④売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと(生計を一にする親族や内縁関係にある人を含む)。

マイホームを売却したときの軽減税率を表にまとめました。
売却益(譲渡所得)6,000万円以下の部分が譲渡所得税率14.21%となります。

6,000万円以下の部分 6,000万円超の部分所
得税 10.21% 15.315%
住民税 4% 5%
合計 14.21% 20.315%

なお、2013年から2037年までは、復興特別所得税として所得税における2.1%相当が上乗せとなっています。

特定の居住用財産の買換えの特例

特定のマイホー厶を2023年12月31日までに売却し、新しいマイホームに買い換えた場合、一定の要件のもと譲渡益に対する課税を将来に繰り延べることができます。
これを、特定の居住用財産の買換えの特例といいます。この特例を使うことで、売却時の譲渡所得への課税を繰り延べできますが、譲渡所得が非課税となるわけではありません。
新しいマイホームを売却する際に上乗せして計算し、新居売却で得た譲渡所得と合わせて課税対象になるため、利用するかどうか慎重に検討することが求められます。

特定の居住用財産の買換えの特例を受けるための要件

特例の適用を受けるための要件は以下の通りです。

①日本国内の自分が住んでいる家屋を売却するか、家屋とともにその敷地や借地権を売却すること。なお、以前に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること。
住んでいた家屋または住まなくなった家屋を取り壊した場合は、次の3つの要件すべてに当てはまることが必要です。

  • 取り壊された家屋およびその敷地は、家屋が取り壊された日の属する年の1月1日において所有期間が10年を超えるものであること。
  • その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること。
  • 家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地をその他の用に供していないこと。

②売却した年、その前年、前々年にマイホームを譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例やマイホームを売ったときの軽減税率の特例、マイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていないこと。また、収用等の場合の特別控除など他の特例の適用も受けていないこと。
③売却代金が1億円以下であること。
④売却した年の1月1日において、家屋やその敷地の所有期間が共に10年を超え、居住期間も10年以上であること。
⑤買い換える建物の床面積が50平方メートル以上、土地の面積が500平方メートル以下のものであること。
⑥マイホームを売却した年の前年から翌年までの3年の間にマイホームを買い換えること。
また、買い換えたマイホームには、取得した時期により次の期限までに住むこと。

  • 売った年かその前年に取得したときは、売った年の翌年12月31日まで
  • 売った年の翌年に取得したときは、取得した年の翌年12月31日まで

⑦買い換えるマイホームが、耐火建築物の中古住宅である場合、取得の日以前25年以内に建築されたものか、一定の耐震基準を満たすものであること。
⑧買い換えるマイホームが、耐火建築物以外の中古住宅である場合には、取得の日以前25年以内に建築されたものか、取得期限までに一定の耐震基準を満たすものであること。
⑨ 売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと(生計を一にする親族や内縁関係にある人を含む)。

特例の適用には確定申告が必要!
これらの特別控除を受けるためには、確定申告が必要になります。
確定申告の方法や必要書類につきましては、不動産お役立ちコラム VOL.37「不動産売却時の確定申告が必要な場合とは?」でご紹介しておりますので、ご参照ください。

まとめ

ここでは、マイホームを売却した際に利用できる特例として、「3,000万円の特別控除の特例」「所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例」「特定の居住用財産の買換えの特例」の3つについて解説しました。

適用要件に当てはまっていれば、これらの控除を利用することができ、利用することによって譲渡所得を大幅に抑えることも可能になります。
また、「3,000万円の特別控除の特例」と「所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例」は併用が可能ですが、「特定の居住用財産の買換えの特例」は他の2つの特例とは併用ができません。
さらに、「特定の居住用財産の買換えの特例」は、譲渡所得が非課税となるわけではなく、先延ばしにするものなので、利用の際は慎重に検討することが重要です。
一誠商事では、マイホーム売却後の特別控除の利用についてもご相談を承っておりますので、お気軽にご相談下さい。

ISSEI

記事の監修者:一誠商事編集部

一誠商事株式会社が運営する情報サイト編集部。

不動産売買・賃貸経営・土地活用・不動産相続から快適な暮らしや住まいのことまで、不動産に関する幅広いお役立ち情報を発信しています。

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